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日中両政府は旧日本軍が中国に放置した毒ガスなどの遺棄化学兵器を処理するため、
移動式の処理施設を導入することを決めた。11日に来日する温家宝(ウェン・チアパオ)
首相と安倍首相との日中首脳会談で正式合意する。
遺棄化学兵器は中国国内に約40万発あると推定されており、これまでに13省30カ所で
約3万8000発が見つかっている。移動式施設の導入で、遅れていた処理事業が本格化しそうだ。
中国の遺棄化学兵器は97年に発効した化学兵器禁止条約によって、廃棄のために
必要な資金、専門家などはすべて日本が提供し、12年4月までにすべて廃棄すること
が決まっている。
移動式の処理施設は、トレーラーに化学兵器を処理する炉などを載せ、中国各地に点在
する化学兵器の保管場所まで移動し、現地で組み立てて起爆装置の取り外しなどを行う仕組み。
こうして事前処理された遺棄化学兵器は、30万発以上が埋まっているとみられる吉林省
ハルバ嶺(れい)に建設予定の大規模回収・処理施設まで運ばれ、最終処理される。日本政府は
今回の合意を受け、約940億円を投じてハルバ嶺の大規模処理施設建設に着手する。
当初、見つかった遺棄化学兵器はすべてハルバ嶺の施設まで運び、毒を無害化する
燃焼施設で最終処理する予定だった。だが、長年土中に埋まっていたことで化学兵器の
劣化が激しく、長距離輸送中の爆発や化学物質漏洩(ろうえい)の危険性が指摘され、
ハルバ嶺以外で見つかった化学兵器の処理方法は決まっていなかった。
旧日本軍の化学兵器をめぐっては、黒竜江省チチハル市で03年8月、毒ガスで汚染された
土に触れるなどして1人が死亡する事故が起きるなど、住民に大きな影響を与えており、
中国側は日本政府に早期処理を求めていた。
朝日新聞社 2007年04月09日07時01分
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