07/03/08 08:46:57
(続き)
店にはさまざまな人が訪れた。石原裕次郎さんやフランク永井さん。
大部屋時代の川谷拓三さんは「役者で食えなくなったら頼むよ」と弟子入りを志願した。
丹波哲郎さんも昨年九月に亡くなる直前まで来店した。
経団連の御手洗冨士夫会長は若いころ、中野「大勝軒」に通った。
手の空いた山岸さんを見つけては腕相撲を挑んでいたという。その後、音信は途絶えていたが、
数年前、テレビ番組を通じ御手洗会長が山岸さんのことを知り、
東池袋の同店を訪れ半世紀ぶりの再会を果たした。
大勝軒は全国から修業に来た人を受け入れてきた。北海道から沖縄、ハワイまで、
のれん分けした店は百店に及ぶ。山岸さん自身は病気のため数年前から
厨房に立つことはなくなったが、店で寝泊まりしながら弟子たちを見守る。
山岸さんの体を気遣い、お客さんが手伝ってくれることも。
閉店は再開発事業が始まるためだ。五十二階建ての高層ビルが建つ。
大番頭の柴木俊男さん(59)は「近くで店を再開できれば」と話し、
「大勝軒」の味を継ぐ店が開店する可能性に含みを残す。
「時代は移り変わっても、後に続く者たちはきっと伝統の味を受け継いでいくに違いない」。
山岸さんはそう信じている。
文・山田雄一郎
画像
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
「山岸大勝軒」公式サイト
URLリンク(www.tai-sho-ken.com)