07/01/23 15:27:56
◇児童養護施設:虐待増加でパンク状態、現場から悲鳴
虐待などで保護の必要な子どもが増え、東京や大阪などの児童養護施設では定員を超えた子どもの
入所を特例で認めざるを得なくなっていることが分かった。ただでさえ日本の児童養護施設は狭くて
職員も少ないと指摘されてきた。被虐待児など専門の心理的ケアが必要な子どもも増え、現場からは
悲鳴が上がっている。
児童養護施設は全国に558カ所あり、約3万人が暮らしている。毎日新聞が都道府県・政令市に
聞いたところ、00年以降、定員超過となっても新たな入所児を受け入れていた施設が5都府県で
確認された。▽群馬県(計7施設で延べ9人)▽埼玉県(計22施設で52人)▽東京都(計11施設で
19人)▽大阪府(計6施設で9人)▽長崎県(1施設で2人)。
児童養護施設の運営費は国と県・政令市が折半している。
国は定員超過分は原則として支出しないが、「職員配置などが施設の最低基準を下回らなければ、
緊急性の高い場合は保護が優先される」(厚生労働省家庭福祉課)として、定員オーバーを特例として
認めていた。
東京都は昨年暮れ、精神疾患を抱える実父から暴力を受け続けていた女子中学生や、養育放棄で
食事を与えられていなかった小学男児など4人を保護した。4人が入った施設はいずれも定員を超えた
が、学習や受験への影響もあるとして認められた。
大阪府は昨年、養育放棄されていた男児を保護し、兄のいる施設は定員いっぱいだったが、そこに
入所させた。長崎県では04年度、虐待を受けていた兄弟を心理の専門職員がいる施設に入所させた。
首都圏のある施設では、養育放棄で保護された小学生の姉と幼い弟を受け入れ、定員超過となった。
施設長は「保護が急がれ、通学の必要もあるため、やむを得なかった。幼少時に暴力で支配され、
放置されてきた子は、気持ちの伝え方が分からずパニックを起こす場合もある。
一人一人手厚く接したいが手が回らない。小学生以上の子供6人に対して職員1人といった30年間
変わらない職員の配置基準などを見直す必要がある」と話す。【野倉恵】
◇児童養護施設 保護者がいない、育てられないなどの理由で家庭で生活できない子どもが暮らす。
93年に530カ所で2万6036人だったが、現在は約3万人。虐待を受けた経験のある子が約5割に上る。
大学・短大への進学率(02年4月)は8.5%と一般家庭の5分の1以下。
国は施設の小規模化と里親委託を拡充する方針だが、「1部屋15人以下」などの基準は、戦後すぐに
制定された児童福祉法から見直されていない。
毎日新聞
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