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★「琵琶湖のブルーギル繁殖心痛む」 天皇陛下ごあいさつ
天皇皇后両陛下は11日、大津市で開かれた「全国豊かな海づくり大会琵琶湖大会」に
出席した。天皇陛下は、外来魚ブルーギルが異常繁殖し、琵琶湖の漁獲量が大きく減った
ことに触れ、「ブルーギルは50年近く前、私が米国より持ち帰り水産庁の研究所に寄贈した
ものであり、当初、食用魚としての期待が大きく養殖が開始されましたが、今このような結果
になったことに心を痛めています」と述べた。
魚類を研究する天皇陛下が外来魚問題について、公の場で発言したのは初めて。
宮内庁によると、天皇陛下は皇太子時代の1960年にアメリカを訪問した際、シカゴ市長
からブルーギルを寄贈され、食用や釣りの対象になればと水産庁の研究所に寄贈した。
滋賀県によると、1963年、国から琵琶湖の県水産試験場にブルーギルが分与された。
逃げないように注意して飼育していたが、なんらかの経緯で、60年代末までにブルーギルが
一般水域で確認されるようになったという。
天皇陛下は一般水域に入ったブルーギルが生態系を壊したことについて以前から残念に
思っており、側近に「おいしい魚なので釣った人は持ち帰って食べてくれれば」などと話して
いたという。
天皇陛下はあいさつの最後に「永(なが)い時を経て琵琶湖に適応して生息している生物は、
皆かけがえのない存在です。かつて琵琶湖にいたニッポンバラタナゴが絶滅してしまったよう
なことが二度と起こらないように、琵琶湖の生物を注意深く見守っていくことが大切と思います」
と述べた。
大会実行委員長の嘉田由紀子滋賀県知事は、天皇陛下の発言について「当時は食糧難で
たんぱく質を増やそうという時代で、その後、生物の多様性の重要さが指摘されるようになった
のに、科学者として勇気ある発言をしてくださった。お気持ちを真摯に受け止め、琵琶湖の再生
に向けて働きたい」と話した。
朝日新聞 2007年11月11日21時13分
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