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◇「拉致支援できぬ」と警告 慰安婦問題で米駐日大使
従軍慰安婦動員の強制性に関する安倍晋三前首相の発言が日米間の外交問題に発展していた
今年3月、シーファー駐日米大使が当時の政府首脳に「このままでは、北朝鮮の拉致問題で
日本を支援できなくなる」と強く警告、これに応じて安倍氏が事態収束を図ったことが8日、関係者の
証言で分かった。
拉致問題への支援取りやめをちらつかせて問題の沈静化を迫った米大使の強硬姿勢は、安倍氏の
言動で日米関係が危機的な状況に陥っていた実態を浮き彫りにしている。
今年初めから米下院外交委員会が太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に謝罪を
求める決議案を検討。
首相就任前、動員の強制性に疑問を投げかけていた安倍氏の対応が焦点だった。
安倍氏は3月5日の参院予算委員会で、動員の強制性に関し「『慰安婦狩り』のような官憲による
強制連行的なものがあったと証明する証言はない。間に入った業者が事実上、強制をしていたと
いうケースもあった。広義の強制性はあったのではないか」と答弁。
中国、韓国に加え、米国からも強い批判を招いた。
事態の悪化を懸念した米大使はこの後、政府首脳と会談し「この状態が続けば、われわれはもう
日本を擁護できなくなる。このままでは米国として北朝鮮の拉致問題で日本を支援できなくなる」と
伝達した。
これを受け、安倍氏と当時の塩崎恭久官房長官、麻生太郎外相らが協議。麻生氏が「日米関係は
極めて大事だ。拉致問題もあるので、ここは退いたほうがいい」と促し、安倍氏も受け入れた。
安倍氏はこの後、強制性を「狭義」「広義」と使い分けていた議論を封印。4月3日にはブッシュ米大統領
との電話会談で、強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官談話の継承を表明した。
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