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・阪神大震災で被災した神戸市長田区のうどん店女将、竹内洋子さん(52)が、歯周病の
予防に日本原産の樹木「コウヤマキ」の抽出液が効くことを発見し、抽出液を配合した
歯磨き粉を開発した。震災で義母を亡くした竹内さんは、売り上げを被災者の支援に
役立てたい考えで「うどん屋のオバチャンでも被災者の希望になれるはず」と話している。
竹内さんは平成8年に歯周病と診断された。近所の歯科医院に4年間通いつめ、歯石除去や
投薬を受け続けたが、歯茎の腫れや歯のぐらつきなどの症状は改善しなかった。それが
コウヤマキの抽出液を綿棒に浸して歯茎に塗り込んだところ、約1カ月で腫れが引いたという。
発明好きの竹内さんはもともと、震災のショックから立ち直れない義父に若返ってほしいと、
コウヤマキを果実酒用焼酎に漬け込んだ自作の抽出液を、育毛剤として使用。育毛効果は
ゼロだったが、抗菌作用があるのではないかと思いついて自分で使ってみたという。
歯科医院へ来る回数が激減したことを不思議に思った主治医が竹内さんから経緯を聞き、
大学で科学的に調べるよう進言。神戸薬科大と大阪歯科大で歯周病菌の生育を阻害する
効果があることが実証された。
このうち大阪歯科大は、有効成分の特定などさらなる解析をしたいとして、昨年9月から委託
研究を開始。大学が企業でなく個人の委託で研究するのは異例で、福島久典教授(細菌学)は
「素人なのに着眼点がすばらしい。歯周病の治療にも役立つ可能性があり、研究対象として
興味深い」と評価している。
竹内さんは17年7月に特許を出願。短大ではデザインを専攻し科学の知識はほとんど
なかったが、知人の協力でコウヤマキ抽出液を配合したジェルタイプの歯磨き粉と洗口液を
開発。「デンタアプローチ」の商品名で先月から販売を始めた。
竹内さんは夫の利幸さん(55)と結婚して以降、30年間にわたり長田区でうどん店
「壽(ことぶき)」を切り盛り。震災では店舗隣の自宅が全壊し、義母の正枝さん=当時
(67)=が落ちてきた屋根に挟まれ死亡した。一命を取り留めた義父もショックで認知症に
なったという。(一部略)
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