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(>>1つづき)
約60年前に公開された「第三の男」は、いまも日本でビールのCM音楽に使われているように、
チターが海外にも知られるきっかけになったが、「ドイツやオーストリア、スイスでは昔から多くの
町の音楽学校にチター科があって、コンサートも頻繁に開かれている」(内藤さん)。
番組でも、オーストリアの全国チター演奏会で優勝した若者が登場する。
欧州では幅広い年齢層に親しまれ、日本でも還暦を過ぎてから習って演奏を楽しむ人が少なく
ないなど特別難易度が高いともいえないようだ。ただ、「バイオリンでもピアノでも努力が必要な
楽器で演奏人口が減っているのはチターも同じ」(同)。
番組を制作した毎日放送では「取材ではオーストリアには作れる職人はいるものの皆、作るの
をやめていて、いまではペーター・ムルンゼアさんだけとのことだった。本人に確認すると
『オーストリアで作っているのは私だけです』と言ったことから同国で最後の職人として取り上げた。
ドイツに職人がいることは知っていた」と説明している。番組ではドイツにチター職人が何人もいる
ことには触れず、ことさらオーストリアの「最後の職人」を強調したことは事実だ。
番組のホームページには問い合わせや抗議が寄せられており、同局も「世界からチター職人が
いなくなり、チターが消えてしまうと錯誤された方がいたことは残念で、真摯(しんし)に受け止めて
いる」。同局が火をつけた“チター滅亡論”はいまでも、クラシック関連など複数のブログで独り歩き
している。(芳賀由明)
【用語解説】チター
英語はZitherで、ツィターと表記することも。語源はギターと同じ。ドイツ南部のバイエルン地方や
オーストリア、スイスなどで親しまれている弦楽器で、琴を寸詰まりにしたような箱に弦を張り、主に
机の上で演奏する。時代とともに形状は変化。現在は主旋律を奏でる5本と伴奏用の35本前後の
弦が張られ、6・5オクターブの音域がある。16~17世紀にアルプスの山岳地方で作られ19世紀
にはすぐれた演奏家が出て広く知られるようになった。日本チター協会によると、3カ国のほか米国
などにも協会があり、演奏会など普及活動を展開している。