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インクジェットプリンターが臓器提供者不足を解決する---それほどとっぴな発想ではないかも
しれない。そうした論文が12日、米科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。
細菌や酵母をインクジェットプリンターで「印刷」することは既に実現されているが、ヒトの幹細胞
の印刷についても、マサチューセッツ大学ダートマス校(University of Massachusetts in
Dartmouth)のポール・カルバート(Paul Calvert)教授(材料科学)が率いる研究チームがこの
ほど成功した。
同教授は現在、インクジェットプリンターを使って組織内に「3次元構造」の細胞を作り出す方法を
開発中であり、細胞の多層構造の作り方が解明されたら、移植可能な臓器を作り出す可能性に
一歩近づくという。
米、英、日本のいくつかの研究チームは、改造した特殊なインクジェットプリンターを使って単細胞
の酵母からハムスターの卵巣細胞まで、あらゆる細胞を複製する研究を数年にわたって続けてきた。
実験では通常、空にしたインクのカートリッジに細胞溶液を詰めて、この「バイオインク」を紙では
なくある種の成長培地の上に噴射する。
この技術の最大の利点の1つは、細胞のパターンを簡単に、非接触方法で堆積(たいせき)させる
ことができる点にある。そのため、後に行われた印刷が先の印刷行程から影響を受けることはない。
前駆タンパクなどの適切な材料を使用すれば、じん帯、軟骨、角膜を作り出すことができるという。
肝臓や心臓の組織の一部でも生成された場合、治療薬の実験など医療の現場で役立たせることが
できるとカルバート教授は語る。
だがインクジェットプリンターを使って実物大の臓器を作り出すことができるようになるまでには、
まだ時間がかかりそうだ。「10年以内に実現できれば驚きだが、30年かかってもできなければ、
がっかりするだろう」(カルバート教授)。
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