07/10/17 00:48:05 IkDRhiov0
原始時代はいざ知らず、近親相姦は文明時代の段階になると許されない行為であるという認識は諸文明で共通のもの
となった。それは東洋でも同じことであり、中国や中国文明の影響を強く受けた朝鮮半島では「同姓不婚」という考えがあり、
姓と本籍地を同じくする男女は代を遡れば共通の先祖を持っているため結婚できないとするほど近親相姦を忌み嫌って
いた。
しかし、同じく中国文明の恩恵に与っていたはずの古代日本では、どうやら事情が違っていたようなのだ。古代日本史を
記録した日本最古の史書、古事記の天皇家の婚姻に関する記述がそれを明らかにしてくれる。古事記に記載されている
天皇一族の婚姻45例のうち、半数の22例もが現在民法で禁止されている三親等以内の近親結婚なのだ。さらに驚嘆
すべきことに、そのうち11例は兄弟姉妹間の結婚である。仁徳天皇や用明天皇、そして備達天皇とあの推古天皇の夫婦
は、異母きょうだい間での結婚をしている。また安康天皇と木梨之軽王はそれぞれ、なんと己の同父同母の姉妹と結婚
しているのである(ただし後に書かれた日本書紀では、中国の影響か流石に同父同母はまずいと感じたのか、安康天皇
は別の女性と結婚し、木梨之軽王はこの近親姦を責められて流刑に遭ったという歴史改竄が行われている)。
こうしたごく近親での結婚は、平安時代以降に藤原氏の人間と通婚するようになって廃れたが、天皇家と藤原氏が互いに
娘を出し合う通婚形式を繰り返せば、おのずと互いの血統が同一の物となり、近親相姦と変わらない状態となることは
明白であろう。
このように、日本では近親相姦に対する嫌悪意識は低かったのである。その影響はなんと現在の日本人のなかにも
見受けられる。たとえば調査によると、東京でのいとこ婚の夫婦は全体の4%であり、英の0.4%、仏の1%に比べて
高い数字である。また小説・漫画やポルノ等でも近親相姦(特に兄妹相姦)を扱った作品がしばしば見られる。いとこ
同士の性愛表現がある日本の漫画が、米国(過半の州がいとこ婚を禁じている)で発禁処分を受けた例もある。
日本は他国に比べ、街で知的障害者を見かけることが多い。もしこれが近親相姦に寛容な社会構造が影響している
のだとしたら(近親相姦と障害に関しての確定的データはないが)忌々しき問題である。