07/10/13 14:45:23 jm+68eET0
坂の上の雲 司馬遼太郎
URLリンク(www17.big.or.jp)
第7巻 P.218
日本においては新聞は必ずしも叡智と良心を代表しない。むしろ流行を代表するものであり、
新聞は満州における戦勝を野放図に報道しつづけて国民を煽っているうちに、
煽られた国民から逆に煽られるはめになり、日本が無敵であるという悲惨な錯覚をいだくようになった。
日本をめぐる国際環境や日本の国力などについて論ずることがまれにあっても、
いちじるしく内省力を欠く論調になっていた。
新聞がつくりあげたこのときのこの気分がのちには太平洋戦争にまで日本を持ちこんでゆくことになり、
さらには持ちこんでゆくための原体質を、この戦勝報道のなかで新聞自身がつくりあげ、
しかも新聞は自体の体質変化にすこしも気づかなかった。