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がんワクチン「効果あり」 34人中22人、安定か改善
進行した膵臓(すいぞう)がんや食道がんなどを対象にしたがんワクチンの臨床研究で、
患者34人のうち22人に病状の悪化を防ぐ効果が確認されていることがわかった。横浜市で
5日まで開かれている日本癌(がん)学会総会で、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの
中村祐輔教授が発表した。目立った副作用は出ていないという。新薬として開発を進める方針だ。
がんワクチンは、がん細胞に狙いを絞って免疫反応を高め、がんをやっつけようという手法。
中村教授らが、正常細胞ではほとんど働かないのに、それぞれのがん細胞で特徴的に活発に働いて
いる遺伝子を特定。その中から強い免疫反応を導くものを選び出し、複数のワクチンを作った。
膵臓、食道のほか、肺、肝臓、膀胱(ぼうこう)、大腸の各がんを対象に、岩手医大や
福島県立医大、山梨大、和歌山県立医大、九州大などが昨秋から順次、臨床研究を始めた。
今はワクチン自体に毒性がないかどうかを確認している段階で、標準的な治療法がないと
判断された患者らに説明し、同意を得て研究に参加してもらっている。
9月末までに投与した患者は67人おり、このうち、計画通り投与し、3カ月以上過ぎた
34人について分析した。がんが縮小したと評価された人は膵臓、膀胱、大腸の各がんだった
5人。がんが大きくならずに安定していた人が17人で、計22人で効果があったと判断した。
がんに対する免疫反応が高まっていることも確認され、特に比較的若い人で顕著だった。
また、投与の結果、半年以上、病状が安定している患者がいた一方、効果のみられないケースもあった。
グループが、がんワクチンに期待するのは、手術後の再発予防。実用化にはさらに研究を重ねる
必要があるが、新薬の承認申請を目指し、臨床試験(治験)を担当する厚生労働省の関連組織と
相談に入りたい考えだ。
朝日新聞 asahi.com(2007年10月05日18時04分)
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