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東京都荒川区で昨年11月、切迫早産で新生児集中治療室(NICU)のある病院への搬送が必要になった
30代の妊婦が、満床などを理由に都内十数カ所の病院から受け入れを断られていたことがわかった。
3時間以上かけて搬送先を探した末、妊婦は川崎市の病院に搬送されたが、5日後に死産した。
地方だけでなく大都市でも、出産前後の母子を扱う周産期医療の体制が限界に近い状態に
追い込まれていることが浮き彫りになった。
妊婦が通院していた荒川区の産婦人科医院によると、妊婦は昨年11月29日朝、妊娠22週目の
切迫早産と診断されNICUを備えた病院での処置が必要となった。院長(53)が都内の病院に電話で
受け入れを要請したが、「NICUが満床」などの理由で次々と断られた。この中には、高度医療を
確保するため都から「周産期母子医療センター」に指定されている大学病院などが複数含まれていたという。
院長は都内で転院先を探すのは困難と判断し、親しい医師がいる川崎市の日本医科大武蔵小杉病院に
受け入れを依頼。妊婦は同日午後に同病院に搬送された。
都福祉保健局によると、都内ではセンター指定病院22カ所を含む計24医療機関がNICUの空き状況などを
ネットワークで共有。都内は9ブロックに分けられ、地域の医療機関は、自分のブロックの指定病院に要請し、
ネットワークを通して搬送先を照会できる。しかし、現実にはNICUが満床となることが多く、各医療機関が
独自に搬送先を探すという。
都内の産婦人科医師数は04年時点で1424人で、10年前より1割減った。同局は「根本的な原因は
産科医不足だ」と話している。【五味香織、夫彰子】
(以下略)
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