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・やつれたような表情、張りのない声…。入院から12日目、慶応大病院で記者会見した
安倍首相にかつての力強さはなかった。辞意表明の時期を「最悪のタイミングだった」と
自ら反省。辞任を決めた最大の理由は体調不良だったと強調した。会見のテレビ中継を
見た識者らは、病状を気遣いつつも、厳しい印象を口にした。
安倍氏は、辞任の最大の理由が健康問題だったとしたうえで、「在職中に自らの体調に
ついて述べるべきでないと考えていた」と釈明した。
コラムニストの石原壮一郎さんは「自分勝手な美学で情報を隠し、国民を混乱させた」と話す。
辞任時に体調不良を明らかにしていれば無用な混乱はなく、イメージダウンも防げたのでは
ないかと指摘する。
「『アタシ、もうアベしちゃおうかな』という言葉があちこちで聞こえる。仕事も責任も放り投げて
しまいたい心情の吐露だ。そんな大人げない流行語を首相が作ってしまったのがカナシイ」
安倍氏は濃紺のスーツに青いネクタイ。顔色は青白く見え、話しながら何度も唇をなめた。
高木勝・明大教授は「生気がなく別人のようだった」と気遣いつつも、「厳しいようだが、
健康管理ができない人に首相の資格はない」。
謝罪の言葉はあったが、国民に対する謝罪は政府、与野党関係者の後だった。高木教授は
「順番が逆だ。会見は単なる言い訳ばかりだった」。
この日の安倍氏は、目に力が感じられず、声にも張りがなかった。自身は「ここ1カ月で、
自らの意志を貫く基礎となる体力に限界を感じた」と説明。医師からは、入院から12日
たっても食欲が回復せず、5キロ減った体重が元に戻っていないことが明らかにされた。
精神科医の和田秀樹さんは「機能性胃腸障害だけでなく、精神的にも追いつめられていた
のではないか」と指摘する。
「そうだとすれば、『無責任』とか『逃亡した』といった批判は、病状を悪化させるおそれがある。
安倍さんの政治信条に共感はしないが、今回の件では、気の毒に思えてしまう」と案じた。
(抜粋)
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