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★リタリン:大量処方で幻覚 25歳男性自ら命絶つ 名古屋
乱用の広がりが明らかになった向精神薬「リタリン」。依存症や幻覚・妄想など重い副作用に
苦しむ人が増えている。名古屋市の小原幸子さん(54)の長男毅(つよし)さん(当時25歳)は、
医師が十分な診察もせずに処方したリタリンを服用し続け、依存症になった末に2年前、自ら
命を絶った。小原さんは「毅と私の苦しみをこれ以上ほかの人に味わわせてはならない」と
訴えている。【精神医療取材班】
毅さんがリタリンを服用し始めたのは19歳のとき。アメリカンスクールを卒業後、就職した
地元のIT(情報技術)企業で語学力とパソコンの技術が認められ、すぐに多くの仕事を任される
ようになった。週3~4日は泊まり込みの勤務。体の不調を訴え、名古屋市内の精神科クリニック
で診察を受けた。医師はうつ病と診断し、リタリンを処方した。
毅さんの表情はいきいきとし、元気を取り戻したかのように見えた。しかしすぐに不眠や体の
だるさを口にし、服用量が増えた。別の病院やクリニックを次々掛け持ち受診し、リタリンを大量に
集めるようになった。会社も休みがちになり、半年後に辞めた。
不審に思った小原さんが、処方せんを出した病院に問い合わせると、医師は「ナルコレプシー
(睡眠障害)だから処方した」と答えた。だが、診断に必要な脳波検査をしていなかった。医師は
「本人が『東京の病院で検査した』と言ったので、それを信じて出した」と話した。「毅には生来、
そういう病気はない。精神科医が信じられなくなった」
小原さんがリタリンの服用をやめるよう注意すると、毅さんは「医者が処方した薬を飲んで何が
悪い。殺すぞ」とわめき散らし、ナイフを振りかざした。同居中の女性と大量に薬を服用して自殺
を図ったり、「書店の店員が笑っていたから」と妄想を抱き、バタフライナイフで本を切り裂いて
逮捕されたこともあった。「優しくて明るい性格が、180度変わってしまった」と言う。
(>>2以降に続きます)
毎日新聞 2007年9月18日 3時00分
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