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春秋(9/18)
ベズビオ火山の噴火で滅びたポンペイの市民たちは、街角に様々な落書きを残していた。
本村凌二著『ポンペイ・グラフィティ』によると、友人を公職に推す訴えあり、恋人への甘い
告白あり。遺跡からは1万点以上が見つかっている。
▼2000年の昔からこうなのだから、落書きもひとつの文化だろう。が、これはいただけない。
有名な鳥取砂丘の斜面「馬の背」に、名古屋大学の学生らが縦15メートル、横50メートル
もの巨大な落書きを刻み込んでいた。ローマ字を連ねた“作品”にとりたててメッセージ性
などはなく、たんに所属サークル名の一部だった。
▼無邪気なものだ。しかし、名の通った国立大の学生がこんな具合では、いささか心配に
なる。不安なのは中央教育審議会も同じらしい。大学生の質を向上させようと、卒業までに
学生が身に付けるべき「学士力」を国が指針として示すよう求めるという。「学士」とは
ずいぶん大仰だが、中身はそれほどでもない。
▼「人類の文化、社会と自然を理解する」「良心と社会規範やルールに従って行動できる」
……。こんな項目を並べたのを見ると、天然記念物にいたずらをする学生が現れるのも
そう不思議ではない。ポンペイの落書きには、学校で盛んに文字を学んだ跡も少なくないと
いう。日本の大学は未来に何を残せるだろう。
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