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妊婦救急搬送悲劇絶つには
救急科専門医 山上和寿
生駒市山崎町 51歳
昨夏の教訓が生かされず、妊婦の救急搬送中の悲劇が繰り返された。
陣痛を訴える奈良県の女性が11の医療機関に受け入れを拒まれ、途中で交通事故
にも遭い、死産した。
搬送システムの整備を急ぐとともに、救急医療に対する病院側の意識の問題も検
証されねばならないと考える。
拒否した病院の中には、空きベッドがあったにもかかわらず、一般救急を原則受
け入れていない、当直医が処置中であるとして、事務担当者の段階で受け入れ拒
否の回答をしていた例があったという。
妊産婦救急の現場は今、産科以外の診療科の医師も巻き込み、病院が一体となっ
て専念できる環境も機運も無いようだ。
医師の専門性を重視するあまり、診療科の間の垣根は高い。原点に立ち返り目前
の患者の救命に最善を尽くしたい。それが医師の使命である。
大学病院、基幹病院は、医師たちの連携の下診療科の垣根を越えて救急患者を受
け入れるべきだ。
救命の初期治療と平行して専門医の確保やヘリ移送などの手配も重要となる。
たとえ満床でも予備のベッドを集中治療室に入れて治療するのが、人の道ではな
いだろうか?
9月9日朝日新聞朝刊 「声」
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