07/09/03 02:22:57 wd+U4JfR0
(つづき)
山中美智子医師は「基幹病院でなくても診ることができるのに、最近は産科医が減っているためか、
飛び込み出産を断る町中の病院が多い。救急隊が、何軒電話しても断られたと困り果て、基幹病院に連絡してくる」と話す。
多くの医師が飛び込み出産を敬遠するのは、身体的、精神的な負担が大きいからという。
山中医師は「赤ちゃんが逆子なのか、どれぐらいの大きさか、どんな感染症をもっているのかも分からない。
ふつうなら検診を通して時間をかけて把握すべきことを大急ぎで判断するしかない」と、現場の苦労を語る。
超音波診断でおおよその赤ちゃんの大きさは把握するが、自然分娩(ぶんべん)ができない場合は、急きょ帝王切開などの手術になることもある。
病院にとっては経済的なリスクも高い。県立こども医療センターによると、1~4月に来た飛び込み出産の妊婦8人のうち、
出産費用を払ったのはわずか2人しかいなかった。なかには生まれた赤ちゃんをおいていってしまった女性もいたという。
「出産の予約をとろうと思って何軒も病院に電話をしたが見つからなかった」「妊娠に気づかなかった」「第1子も飛び込みで産んだので」
という妊婦もいたという。
県内の市町村は、出産費用を払うのが経済的に難しい人のために児童福祉法に基づき、「助産制度」を設けている。
提携した病院で出産すれば自治体が出産費用を支払ってくれる制度だ。しかし飛び込み出産の場合は支払いの対象にならないことが多い。
妊婦が費用を踏み倒せば、そのまま全額が病院の負担になってしまう。
しかも医師法により費用未払いを理由に診療を断ることはできない。
以前は不法滞在の外国人や、10代で妊娠したため親に相談できなかったなど、病院に通えない事情のある妊婦が多かったが、
最近はほとんどが成人した日本人という。
こうした状況を受け、県産科婦人科医会も県内八つの基幹病院で飛び込み出産の実態調査に乗り出した。
医会副会長で横浜市大付属病院産婦人科教授の平原史樹医師は「どこが飛び込みを診るのか、どこが費用を負担するのか、
県にも実態を報告し対応を話し合っていきたい」と話している。