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・保守系論壇誌の風景が変わり始めている。90年代後半から「新しい歴史教科書をつくる会」の
運動や拉致問題、反日デモなどを追い風に部数を伸ばしてきた「諸君!」「正論」は勢いが落ち、
新路線を探り始めた。一方で、より過激なナショナリズムをあおる雑誌が台頭。背景には、
左派という敵を失った保守論壇の空洞化や、安倍政権への失望、ネット世代のセンセーショナリズム
といった問題があるようだ。
「諸君!」は6月号から内田博人編集長に交代、7月号の「激論『従軍慰安婦』置き去りにされた
真実」で、秦郁彦氏の討論相手に大沼保昭氏と荒井信一氏を起用して読者を驚かせた。大沼氏は
アジア女性基金による補償事業を進めた中心人物。荒井氏も元慰安婦への公式謝罪と個人補償を
日本政府に求める活動を続けている。
同誌の05年9月~06年8月の発行部数は平均約8万2000部で、3年間ほぼ同じ。
01年の小泉首相の靖国参拝や02年の拉致問題では「こんなに売れるのかと思うほど好調
だったが元に戻った」という。 ひところの勢いがないのは「正論」も同じ。
こうした動きを尻目に急速に存在感を増すのが05年創刊の「WiLL」だ。
創刊当初より2万部多い6万~7万部を実売する。売りはネット世代の若者にも読みやすい
コンパクトな構成と過激さだ。6月号表紙は「温家宝の笑顔に反吐」との見出しが躍った。
若手保守論客の一人、八木秀次・高崎経済大教授によれば、いまの保守論壇には「何を
言っても無駄」というむなしさが漂っているという。従来の保守に飽き足らない層の「期待の星」
だった安倍首相は、「自分たちが誕生させたと思っていた」。だが、「拉致も靖国も成果が出ない。
逆方向へ行っている」。
ある論壇誌の編集長は、その不満がしにせ2誌に行き詰まり感を生み、一部がネットや
「WiLL」に流れている―とみる。(抜粋)
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※画像:「媚中派」「サヨク」など、一時はボルテージの上昇と比例して売り上げを伸ばした保守系論壇誌。
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