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・全国の大学病院で、昨年1年間に医師、看護師が患者や家族から暴力を受けたケースは、少なくとも
約430件あることが明らかになった。待ち時間に不満を募らせて暴力に及ぶなど、患者側のモラルが
問われる事例が多い。回答した病院の約7割が警察OBの配置などの対策に乗り出しており、
「院内暴力」の深刻さが浮かび上がった。
調査は、79の大学病院を対象に行い、59病院から回答があった。このうち、何らかの暴力あるいは
暴言があったと回答した病院は54にのぼる。暴力件数は約430件、暴言・クレームは約990件。
「クレームはここ2年間で倍増した」(大阪大医学部付属病院)など、暴力や暴言・クレームが増加している
という回答は、33病院に達した。ただ今回の結果は、「氷山の一角」の可能性が高い。
暴力の具体例では、入院手続きの時間外に訪れた軽いけがの男性に、医師が「ベッドの空きがないので
明日来てほしい」と告げたところ、缶コーヒーを投げつけられ、注意すると顔を殴られて、顔面を骨折した
ケースがあった。入院患者から「言葉遣いが気に入らない」と足に花瓶を投げられた看護師もいた。
けがを負う病院職員は少なくないが、「弱い立場にいる患者と争うことは避けたい」という意識から
警察に届け出ない場合も多いという。
暴言・クレームでは、複数の患者がいたために、すぐに診療を受けられなかった患者の家族が、
「待ち時間が長い」と壁をけったり、暴言を吐いたりした。
精神疾患や重病で心理的に追い詰められた患者が、暴力や暴言に走ってしまった事例もある。
しかし、多くの病院は、それ以外の患者や家族による理不尽な行為に悩んでおり、「(一部の患者から)
ホテル並みのサービスを要求され苦慮」(慶応大病院)との声が上がっている。
具体的な対策をとっている病院は44にのぼり、警察OBを職員に雇い、患者への応対に当たらせている
病院は21、暴力行為を想定した対応マニュアルを作成した病院は10あった。院内暴力を早期に発見・
通報するため、監視カメラや警報ベルを設置する病院もあった。(一部略)
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