07/08/17 11:02:12 0
(>>1のつづき)
「ごめんね、クロ」。そう思いながら、きびすを返して、まもなくのことだった。
「ギャー」
耳をつんざくような悲鳴が背後から聞こえた。クロの声だった。
「60年以上たったいまでもクロの最期の声がはっきりと耳に残っています」と笹波さん。
クロと別れた夜、「これからの人生、動物たちのためになることをして生きる」と誓った。
昭和40年代に夫の実家である富山市に転居した。以来、捨てられた猫や犬を連れて帰り、
世話を始めた。これまでに猫68匹、犬15匹が天寿をまっとうした。いまも自宅に8畳一間の
飼育部屋を設け、猫や犬の世話を続けている。
多くの人に命の大切さを伝えたいとの思いから、戦争の体験記を集めて出版を続ける新風書房
(大阪市)の『孫たちへの証言』に自身の体験を原稿で送り、94年の第7集に盛り込まれた。
今年1月、のら猫「ボス」が不幸なのら仲間たちを助ける物語「のら猫・ボス」を出版。
笹波さんの思いや供出の体験は、ボスが繰り返し見る夢のなかに出てくる少女が代弁する形で
盛りこんだ。
最近、憂えることがある。現在、ペットを気軽に飼い、不都合ができるとすぐに捨ててしまう人が
多い。捨て猫や犬を拾って育てるたび、「命」が軽視されていると不安に駆られる。だからこそ、
戦時下での自分の体験や思いを伝え続けることに意味があると思う。
「戦争は人も動物も不幸にする。二度と絶対に戦争はしてはいけない」
(以上)
※画像:自宅で飼い猫に囲まれる笹波さん。「犬や猫を飼う人たちは『命』を預かっていると
いうことの重みを感じてほしい」と話す=富山市内で
URLリンク(mytown.asahi.com)