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【コラム】筆洗 2007年8月16日
この夏、日本中を席巻した人気商品といえば「ビリーズブートキャンプ」。
軍隊式トレーニングの教材DVDやゴムひもセットの通販商品だ
▼米格闘家のビリー・ブランクスさんが「脂肪を燃やせ」と、深夜テレビで生徒を
叱咤激励(しったげきれい)しながら跳びはねる映像をごらんになった方もあろう。
これが、美容やメタボ腹に悩む若い女性から中年男性までの人気を集めた
▼永田町では安倍首相が、そのゴムひもをプレゼントされたと話題になって、
中川秀直自民党幹事長も参院選前は「本気で選挙運動をやれば体重は五キロ減る。
中川ブートキャンプだ」と冗談を飛ばしていた
▼選挙当日、フジ系列は恒例の“二十七時間テレビ”で人気者の香取慎吾さんに
このブートキャンプのパロディーを演じさせ、そのまま開票速報番組になだれ込んで
視聴率競争を制す。ところが肝心の自民党は、体重どころか議席の方を激ヤセさせて
しまった。“美しい国”と言挙げしつつ、なんでも米国基準の格差社会化で、
地方を痛めつけた安倍政権。「ブートキャンプ」なんぞにかまけて足元の「盆踊り」
を忘れたからだ
▼というわけで、岐阜県郡上市でお盆の四日間は、徹夜になる「郡上おどり」に
参加してきた。娯楽禁止の戦時中も、戦没者慰霊のために継続を許されていた。
終戦の玉音放送の数時間後には、誰ともなく唄(うた)が出て踊りの輪ができたと
いう▼「川崎」「春駒」「やっちく」と、次々変わる演目に、浴衣は袖絞るほどの汗。
手と足を同方向に動かす古来の“なんば”の振りに、美しい日本の夏を堪能できた。
東京新聞
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