07/08/15 13:05:18 0
・平和は未来を奪う。希望は戦争-。そんな過激な論文が若者の心をとらえ、共感を広げて
いるといわれます。
「『丸山真男』をひっぱたきたい」というタイトルからして刺激的でした。論座一月号に
掲載された赤木智弘さんの論文です。丸山真男とは輝ける戦後知識人の時代を築いた東大教授。
サブタイトルに「31歳フリーター。希望は、戦争。」とありました。
赤木さんは北関東の実家で暮らし、月給は十万円強。結婚もできず、親元に寄生するフリーター
生活をもう十数年も余儀なくされ耐え難い屈辱を感じています。父親が働けなくなれば生活の
保障はなくなります。
まともな就職口は新卒に限られ、ハローワークの求人は安定した職業にはほど遠いものばかり。
「マトモな仕事につけなくて」の愚痴には「努力が足りないから」の嘲笑が浴びせられます。
「希望を持って生きられる人間などいない」と書いています。
今日と明日とで変わらない生活が続くのが平和な社会なら、赤木さんにとって「平和な社会は
ロクなものじゃない」ことになります。
ポストバブル世代に属する赤木さんの怒りは、安定した職業へのチャンスさえ与えられなかった
不平等感に発し、怒りの矛先はリストラ阻止のため新規採用削減で企業と共犯関係を結んだ労働
組合や中高年の経済成長世代に向けられていきます。
赤木さんにとって戦争は社会の閉塞状態を打破し、流動性を生み出してくれるかもしれない
可能性の一つです。さすがに「私を戦争に向かわせないでほしい」と踏みとどまっていますが、
「希望は戦争」のスローガンには多くの若者たちの絶望が隠れています。
若者が希望と未来を失ってしまったというなら(若者でなくとも)薦めたい一冊があります。
ビクトル・E・フランクルの「夜と霧=ドイツ強制収容所の体験記録」です。人間への信頼と
内からの勇気が湧いてくるかもしれないからです。
フランクルは強制収容所からの奇跡的生還を遂げたユダヤ人心理学者です。毎日のパンと
生命維持のための闘いは、あまりにも厳しく、最もよき人々は帰ってこなかったと収容所生活を
回顧しています。(>>2-10につづく)
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