07/08/13 16:10:53 0
(>>1のつづき)
制御棒は放射線を浴びて劣化するため一定期間で交換する。だが、今回もし曲がっていれば
燃料などへの影響を確認する必要もあり、単純に取り換えて終わることはできそうにない。
班目委員長が、変圧器を見上げているころ、東京では国の地震調査委員会が開かれていた。
一線の研究者が集まり、四時間半もの議論を重ねたが、新潟県中越沖地震の断層が、震源から
原発に向かって割れたのか、そうではなかったのか、基本的な部分で結論が出なかった。
難航の理由について委員長の阿部勝征東京大名誉教授は「ひずみが集中し、地下に隠れた
断層がいくつもあると考えられる場所だから」と説明した。
端なくも明らかにされた足元のあやうさ。地震が起きた後でさえ正体の分からない断層を、
原発の建設前に正確に見つけられるのか。
東電の原子力部門のトップ、武黒一郎副社長(原子力・立地本部長)は七月末から同原発に
常駐し、点検や復旧作業を直接指揮するという異例の事態が続いている。
八日、柏崎市内での会合で班目委員長ら調査対策委員会のメンバーにゆっくりと切り出した。
「想定を大幅に上回る地震動と火災、ごくごく微量の放射能漏れがあり、地域にたいへん
ご心配をかけました」
いつまでたっても出口が見えない。言葉を選んだ慎重な話しぶりが、時がたつほどに深刻さを
増す事態への戸惑いを示していた。
◇
新潟県中越沖地震は世界で初めて、原発が大きな被害を受けた地震だった。大規模な
放射能漏れなどの惨事には至らなかったが、火災が二時間も続いた。被害の全容把握は
ほど遠く、国内五十五基の原発にどう影響するのか見えないままだ。原発を襲った衝撃を
追った。(以上)