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・30日の「土用の丑の日」を控え、ウナギ業界に逆風が吹いている。今年は、禁止薬剤の
検出で中国産ウナギへの不信感が広がり、取引量が激減。さらに資源保護を理由にウナギの
稚魚の国際取引を制限する動きが、欧州のほか、台湾にも出ており、将来への影響が
心配されている。
「量販店が中国産を置いてくれない。注文は昨年の10分の1くらいしかない」。ウナギの
輸入業者でつくる日本鰻輸入組合は、かつてない厳しい状況と頭をかかえる。
米食品医薬品局(FDA)は6月末、使用禁止の抗菌剤マラカイトグリーンの使用が見つかった
として、中国産ウナギなどの輸入禁止を発表した。日本では、この抗菌剤を使った中国産
ウナギが2年前に見つかっており、検疫強化などの対策済みだった。組合は、すぐさま
「国内に入ったものは安全」と訴えた。
ところが7月初め、群馬県内のスーパーマーケットで売られていた中国産ウナギに抗菌剤
使用が見つかる。これまで見つかった抗菌剤は微量で、普通に食べている分には健康に
影響ないとされるが、小売店が国内産ウナギに切り替える動きに追い打ちをかけた。
販売する側は、厳重に管理していると、安全性のアピールに躍起だ。
国内で消費されるウナギは年間約10万トン。うち7割が中国産、1割が台湾産だ。国産が
減り続ける一方、中国からの輸入は80年代から増え始めた。
野生生物の保護を定めたワシントン条約の6月の締約国会議では、ヨーロッパウナギの
国際取引を規制することを決めた。稚魚は中国で養殖され、日本に来る安い冷凍かば
焼きの原料になっている。EUも稚魚の漁獲制限を決めた。組合の森山理事長は「安い
ウナギは今年で最後かもしれない」と、家庭でウナギを食べる機会が減るのではないかと
心配する。
一方の国内産。今年は稚魚が不漁。稚魚を日本に輸出してきた台湾も、輸出禁止を検討。
養殖業者の高須勝次さん(64)は、友人に「中国産が不評のおかげで、景気がよくなるな」と
声をかけられると、大きく首を横に振る。「台湾の稚魚が入らなくなったらパニックだ」(一部略)
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