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東京電力の勝俣恒久社長は18日、県庁で泉田裕彦知事と面会し、中越沖地震に
よって起きた柏崎刈羽原発の一連のトラブルについて「原子力特有の設備は安全で
無事だ」と繰り返し強調しながら、「いい体験にしたい」と述べた。原発トラブルが
被災者に不安を広げる中での発言で、波紋を広げそうだ。
勝俣社長は「大変ご心配をおかけし、おわび申し上げます」と頭を下げた後、
「スクラム(緊急停止)など、安全の基礎はきちんとできた。今度のことを、いい体験に
生かしていきたい。安心、安全な原発にしたい」と語った。
泉田知事は「こういう話をいただいても、原発が安全だとは世の中に伝わらない」と
反論。「現実に放射能が漏れ、その連絡も遅くなっている。機械設備の問題以外に、
東電の危機管理にも問題があるのではないか」と不信感を示し、「しっかり情報を
出してほしい」と申し入れた。
勝俣社長の「いい体験」発言に対し、被災地からは怒りの声が上がった。柏崎市
東港町の高校教員中村昌子さん(39)は「当事者意識がない。あの揺れを経験して
いたら、言えない発言」と憤る。同市豊町の会社員男性(33)は「災害を乗り越えた
市民が言う言葉。まだ災害の渦中なのに」とあきれ顔を見せた。
放射性物質の放出という重大なトラブルにもかかわらず、人ごとのような発言を
疑問視する声も。刈羽村刈羽の男性(85)は「『小さな事でも大したことでない』という
発言は責任逃れ。見逃すわけにはいかない」と切り捨てた。
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