07/07/04 18:44:35 4LwF5Ik80
頭痛がする。
目を開けると銀色の蛍光灯が眩しい。
アンモニアが微かに漂う独特の空気がここが病院であることを知らせた。
また助かってしまった。
楽になる筈がまた居心地の悪い世界へ突き返されたのだと判り、私はひどく落胆した。
リストカットを覚えたのは中2の頃、最初は些細なことだったがカッターを腕にあてるとなにかがスッと吹っ切れる新鮮な感覚を覚えた。
それ以来リスカが癖になり、何度か救急車の世話にこそなったが、死ぬのは怖かったし本気で死のうなんて思ってはいなかった。
だが県外の高校に進学したあたりから信頼できる友達も出来ず、寂しさを紛わすために知らない男と遊んだりするようになった。
何度かクスリを使われた事もあってどんどん自暴自棄になり、学校にも行かなくなってすぐに家出もした。
全てのことがどうでも良くて、ただ優しくしてくれた男に着いて行った。
優しかった男も所詮は身体目当て、だんだんと暴力を振るわれるようになり逃げ出したくなったが、その頃にはもう私の行くところは何処にもなくなっていた。
男にHビデオを撮られ、それをネタに私を追い込んでくるようになった頃、死という選択に対して昔のような恐怖心は無くなっていた。
ここは処置室なのか誰も来ない。
ベッドの近くに医療用の鋏のようなものが整理されて棚に並んでいる。
もう一息、あと少しで逝けるかもしれないと思い棚に手を伸ばそうとしたが、鎮静剤の所為か身体が動かない。
徐々にひどくなる頭痛を感じて私はまた目を閉じた。