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★国際政治学者 中西 寛さん Ｑ 安倍政権 課題への対応力は？
安倍晋三首相は、年金記録不備問題で批判の矢面に立たされる一方、先のサミットでは、
温室効果ガス削減をめぐる首脳間合意に一役買いました。国際政治学者で京都大公共政策
大学院教授の中西寛さんと、政治・外交の動きを振り返る「月例時評」。今月は、直面する
課題への安倍政権の「対応力」を考えました。
豊田 年金記録をめぐる問題が次々と明るみに出ています。行政の瑕疵の積み重ねであり、
政権に長年座る自民党には重大な責任がありますが、この問題が今、広がった背景をどう考えますか。
中西 ちょうど安倍内閣の支持率が低下し始めた時期と重なり、七月には参院選もありますから、
安倍政権はこの問題に慌てすぎて、政治的な傷口を広げてしまった印象があります。
年金記録の不備が広範にあり、いいかげんだったことは否定できず、国民が怒るのはもっともですが、
安倍政権が問題を生じさせたとは常識的には考えられず、適正に対応していれば、こんなに大きな
問題になったとはいえないのではないかと思います。
豊田 当初、憲法改正を参院選の争点に掲げていた安倍首相も、年金問題が争点にならざるを
得ないことを認めています。国会延長で、投票日が一週間延びましたが、年金はどの程度、
参院選結果を左右しますか。
中西 一般的には、人のうわさも七十五日で、投票日が先になれば、状況が変わるかもしれませんが、
よほどの大事件でも起こらない限り、一週間延びても、年金問題のマイナスイメージは自民党に不利だ
と言わざるを得ません。安倍内閣の支持率は五月下旬から落ちています。これは総じていえば、
安倍政権が打ち出した憲法改正や教育再生などが上滑りしているという印象を、国民が抱き始めている
気がします。年金記録不備問題への対応力も安倍政権の評価につながりますから、この問題が選挙に与える
影響は大きいと思います。（以下略）
東京新聞 URLﾘﾝｸ(www.tokyo-np.co.jp)