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・「自分のせいではないかと、不安」。年金記録の入力作業バイトを経験した45歳男性はこう打ち明けた。
23年前の夏。社会保険事務所の一室に、8人ほどが座っていた。ほとんどが大学生。
「みなさんはこれから重要なデータを扱います。くれぐれも外部に漏らさないよう、お願いします。
分からないことがあったら何でも聞いてください」。職員から求められた誓約書に印鑑を押した。
机に山積みされた記録を1件1件用紙に書き記した。報酬額、年金番号、名前、住所、誕生日…。
漢字をカタカナに変換するため、何度か名前の読みを職員に確認した。職員は面倒くさそうに
「思い当たるのを書いておいて。多少違っても、年金番号で一致するから」と言った。当時、「穐」と
いう字が「あき」と読めなかった。「穐澤」という名前に「カメザワ」と記したことが今でも忘れられない。
日給は交通費別で6、7千円。処理件数のノルマもなかった。「いいねえ学生は。責任ないもんね」。
そう言われたこともあった。「自分のやったことが年金受給者に影響を与えていた気がしてならない」。
当時を知る社会保険庁の職員も、アルバイトを使ったずさんな入力作業を認めた。
85年以降にオンライン化されるが、その前は、夏になると大量の記録を整理するため、事務所に
よって5~10人のアルバイト学生が集められ、ほぼ1カ月間、手作業による事務処理が行われた。
作業は、会社から送られた社員の報酬額などの記録を個人単位の用紙に書き写すこと。
その用紙は社保庁に集められ、コンピューターに入力された。性別の違いや前回の記録との重複
などをコンピューターで確認。不都合があった場合には「事故記録」として元の事務所に戻った。
事務所には毎年、事故記録のリストが束状になって戻されてきた。だが、確認作業に時間がかかる
ことから、処理されないまま放置されることもあったという。これらが、5千万件にのぼる「宙に浮いた」
記録の一部になっている可能性もある。
「年金番号を間違えていたら、記録が空白になる可能性もあった。今から考えるとずさんだが、
当時は結果まで考えていなかった」。職員はこう反省している。(一部略)
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