07/06/04 12:26:52 0
・「戦後レジーム」は戦前の体験に学んで築かれました。教訓を忘れないよう、歩んできた道を
振り返りながら未来を見つめ、憲法と向き合いたいものです。
一九九〇年、天皇は即位を国内外に披露する「即位礼正殿の儀」のお言葉で、「日本国憲法を
順守し、日本国及び日本国民統合の象徴としての務めを果たす」と誓われました。
憲法第九九条で公務員に憲法の擁護尊重義務が課されていることに配慮されたのでしょう。
今年の憲法記念日、安倍首相の談話は「戦後レジーム(体制)を原点にさかのぼって大胆に
見直し、憲法について議論を深めることは新時代を切り開く精神につながる」と改憲へ強い
意欲を示しました。
首相の権力は憲法によって与えられています。自分の権力基盤を否定するのは矛盾のよう
ですが、よく似たことが五十年前にもありました。安倍首相が敬愛する祖父の故岸信介らが、
新憲法制定を目指して内閣に憲法調査会を設置した時です。
岸は当時の自民党幹事長、後の首相です。戦前は中国大陸で植民地経営に重要な役割を演じ、
東条内閣の商工相として開戦の詔勅に署名し、起訴は免れましたがA級戦犯の容疑に問われました。
現憲法施行から十年もたっていない五六年三月です。自民党は今と同じ押しつけ憲法論を軸に
戦後体制脱却を主張しました。憲法調査会設置法を審議する衆院内閣委で、公述人の故戒能通孝・
東京都立大教授(当時)がこれを批判しました。
「内閣は憲法の忠実な実行者でなければならない」「憲法擁護の義務を負っている者が憲法を
非難、批判することは論理的に矛盾する」
これに対抗し「戦前に戻そう」と言わんばかりの論陣を張ったのは、旧内務官僚、元海軍少将、
元陸軍参謀といった顔ぶれの自民党議員たちでした。安倍首相とその取り巻きの人たちの
「自前憲法制定論」「戦後レジームからの脱却論」や、日本人としての誇りを声高に主張する
一部の雰囲気は、この時の議論にオーバーラップします。(>>2-10につづく)
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