07/05/22 08:21:19 RqL8Ri480
ブラジルでは、労働者を一人雇用すると、基本給の107%に相当する額を、国に収め
なければならない。これは、所得税、年金、失業保険など、全てを合計したものだ。
このため、企業は公定最低賃金以上の給与で雇用する事は事実上不可能になってる。
南米のほとんどの国では、「みなし雇用」が適用される。非正規社員でも、継続して
1年(この期間は国によって異なる)以上の雇用が継続した場合、正規社員と看做され
労働法が適用される。これによって企業都合で解雇する場合、最低1年分の年収同等
の退職一時金を支払う事になる。このため、企業は社員を6ヶ月以上、継続して雇う
場合は、1年ごとに非契約期間を設け、事実上、年間11ヶ月の雇用期間しか無いよう
に細工する。さらに、再契約を行うがそれには解雇に伴う労働者権利の放棄を明記
させている。
このため、中小の企業では、社長以下3~4名が正規雇用者、残りは、法制上、契約
雇用者という会社が非常に多い。制度自体は非常に手厚いが、制度の要求通りの雇用
を行う事は、企業の存続に関わる問題となる(人的コスト増大による競争力低下)
ため、結局、雇用機会を減らす事になっているし、失業率も高い。
この労働者に手厚い制度の下では、40歳から年金が受給でき、医療無料、失業時は
2年間、最終給与の80%が保証される、といった具合だが、残念ながら、このような
高福祉の南米諸国の給与水準は日本の1/10以下、酷い所では、平均所得が生存物価
以下、と言う国がいくつもあるのはご存知の通りだ。
現在、南米では労働者自身が、この制度を変えようというムーブメントがある。これは
ブラジルなどで顕著だが、労働者自身、過保護的な制度は、自らの首を絞める事に
気づき始めている。つまり、保護制度によって得られるものより、安定した雇用により
得られるものの方が大きい事に気づいた、と言う事だ。
日本のような高給与水準の国(12万なんて給与は南米じゃ高給取り)で、いまさら
こんな事が問題になるのは、やはり「ゆとり脳」が原因としか思えないな。