07/05/21 21:01:07 0
(>>1の続き)
嘆きながらミナミを歩けば、音楽プレーヤーのイヤホンをつけて信号を無視する若者、人に
ぶつかって謝りもしない大人がいた。それぞれが、他人にちっとも関心を持たずに歩いて
いる。
ミナミを歩いた翌日、じゃりン子チエの出身地で有名な大阪・天下茶屋(てんがちゃや)で
友人たちと夕食を食べた。その帰り道、男がいきなり凶暴な声で「わっ」と威嚇してきた。
折しも街への不信感が募っているから恐怖でひるんでいると、横にいた友人の1人が男と
同じ声量で「うるさいっ」とやり返した。
驚いたのは男だ。酔っぱらいのおっちゃんらしい。「びっくりしたぁ」と目をむいている。
おっちゃんが続ける。「これでいいんや…すっきりした」。何がいいのか真意は測りかねるが、
オアイコとでもいいたいのだろう。
一緒にいた私たちは、噴き出した。その瞬間だけ、街によどむ不満がはじけ飛んだ。そこに
は一体感さえあった。街行く人みな、同じぐらい何か「叫びたい思い」を抱えている。そう考え
ると、すれ違う人に親しみを覚えることもできる。
卑劣な犯罪を決して許した訳ではない。しかし私は、もう少し、街を信頼することを続けたいと
思う。(安田奈緒美)