07/05/15 09:46:30 0
国民投票法が成立した。改憲を政権の最重要課題とする安倍首相は、そのための必要条件を
手にして、七月の参院選は憲法改正を公約に戦うという。憲法問題は、国民一人ひとりが憲法
への理解を一段と深め、改憲の是非を見極めていくべき新局面に入った。重い歴史的任務を
負ったとの認識をもつべきだろう。
国民投票法について「急ぐ必要は全然ない」というのがわれわれの立場だった。
国のあり方や理念を定める根本法規改正にかかわる法律だ。時間はかかっても多くの政党
と議員が参画して、納得と合意のうえで成立させる方が望ましいし、環境権や知的財産権
など新しい権利の扱いをめぐっての課題はあるが、現行憲法核心の立憲主義や九条に手を
加えてまで憲法を改定する緊急性があるとは思えなかったからだ。
政権戦略と政局優先から協調路線を壊してしまっての国民投票法。今後建設的な憲法論議
が可能なのか心配にさえなる。
憲法は、常に吟味検証され、論争され続けられるべきなのは当然だ。先の「憲法60年に
考える」社説のシリーズのなかで、われわれがあらためて確認したのは現憲法の護(まも)
られるべき多くの価値の存在だった。
(中略)
自衛権、自衛戦力保持明記を主張する護憲的改憲論はかなりの支持を得ているが、九条を
改定して、戦争ができる国にしてしまって本当にいいのか。統治者を、われわれ自身をそれ
ほど信頼してしまっていいのか、ぜひとも詰めたいテーマだ。
改憲発議は二〇一〇年から可能になる。それまでに少なくとも二回の参院選と一回の衆院選。
だれがどんな憲法観をもっているかを見定めての投票としなければならないだろう。未来社会
と子孫たちのためでもある。腰を据えて考えたい。
■ソース(東京新聞)(中略部分はソースで)
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)