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<クローズアップ2007:「自殺対策大綱」策定へ 原因つかみ具体策を>
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今後10年間で自殺死亡率の20%減少を目指す政府の「自殺総合対策大綱案」は、10日で
一般からの意見募集を締め切り、6月までに最終決定となる。98年以降、8年連続で3万人
を超えた自殺者。大綱案は47の重点施策を示したが、民間団体からは「掛け声だけではな
く具体的な支援を」との声が強い。(略)
「景気が回復すれば自殺は減る」。98年、自殺者が前年より約8500人増え、一気に3万人を
超えた際、関係者の間ではこんな期待があった。97年は、山一証券の破たんなどで、金融不
安と景気悪化が拡大した年だったからだ。だが今も高止まり状態は続き、「景気悪化→自殺
者増」という単純な構図ではない。
財務省の景気判断は、04年1~3月以来13期連続で「緩やかな回復が続いている」。一方、
厚生労働省によると、06年は11月までに2万7314人が自殺。政府が参考にする警察庁の
自殺者数は統計手法の違いから平均で6%ほど厚労省より多くなるため、06年も年間3万
人を超え、98年から9年連続というさらに深刻な事態を迎える可能性が高い。
一方、交通事故死者は6年連続で減少し、06年は6352人。その5倍近い人が自殺すると
いう日本の現状は、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)でみると、米国の約2倍、
英国の約3倍という異常事態だ。
「自殺は社会的問題」と訴える民間団体の運動もあり、06年6月、自殺対策基本法が成
立し10月に施行。これを受けて大綱策定の運びになった。
なぜ自殺者は減らないのか。まずはこれを解き明かさない限り、自殺者減は望めない。
47ある大綱案重点施策は九つの柱に分かれるが、その一つが「自殺の実態を明らかに
する」と調査・研究の必要性を強調する。裏を返せば、多発する自殺の背景が分かって
いないということで、自殺対策の遅れが浮かび上がる。
自殺の実態解明へ向けた調査では、官・民が連携して「仕事上のストレス」「借金など家
計の問題」「青少年も含めたうつ」など個別の自殺原因をデータとして蓄積する必要があ
る。どこまで国が民間を支援し、情報を交換できるかが成否のポイントになる。(以下略)