07/05/02 19:46:12 lNYqjaN50
総務省の高官は、「テレビ局は特別なんです」と言って憚らない。「競争によってテレビ局が淘汰
されるなんてことがあってはならないと考えています。昨日までやっていたテレビ放送が、今日か
ら別の会社のテレビ放送に代わったらやっぱり困るでしょう。テレビは社会にとって切な報道や
災害放送などを担っているメディアなんです。日本が武力攻撃を受けた時には、住民避難などの
面でテレビ局の協力を得ることにもなっています」(総務省高官)。
実際に総務省は競争を通じてテレビ局が経営危機に陥ることのないように、テレビ放送市場へ
の参入を制限してきた。もちろん、テレビ放送用の電波には限りがあるので、無制限にテレビ局
を増やして競争を促進することはできない。
それでも、調子の悪いテレビ局に市場から退出してもらって、新規のテレビ局と交代させたり、
可能な範囲で新規参入の枠を増やして生き残り競争を繰り広げさせたりと、競争を導入すること
はできる。ところが、総務省はそうした競争政策をとっていない。こうした保護政策への批判は少
なくない。識者からは、「テレビ放送も、一般のビジネス並みの競争にさらされる必要がある」
(大阪学院大学経済学部の鬼木甫教授)などと声が上がる。現在は競争原理が働かないので、
富が過剰に貯まっており、産業として不健全なのだという。多くの業界で規制緩和が進むなか、
テレビ業界はいまだに政府の手厚い保護を受けているので、「最後の護送船団」などとも言れる。
そのような批判をうまくかわしつつ、総務省は今日まで半世紀にわたり保護政策を執り続けて
きた。おかげでテレビ局は大いに潤った。総務省が与えてくれた温室の中で、テレビ広告を2兆
円もの規模の巨大な広告メディアに育て上げることに成功した。この2兆円を、限られた数のテレビ
局で仲良く分け合っている。