07/05/01 19:34:25 0
・「ついに、ここまできたか…」
私立短大に勤める講師はそう言って言葉を失った。“日本語が通じない現実”に直面
したのは昨年秋のことだった。
「ほかの人に比べると話し好きです」「思いやりがある方です」…このような文章を記した
紙を学生に渡し、イエスかノーで答えてもらった。外向性などを診断する性格検査だ。
間もなく20人ほどの学生のうち、数人が手を挙げた。
「『怠惰』って何」「『まごまごする』ってどういう状態?」
想定内の質問もあったが、就職を控えた女子学生が発した言葉には耳を疑った。
「骨が折れる仕事は嫌です」という文章を指さし、「『骨折する仕事』が嫌なのは当たり前。
違う意味があると思ったので…」と首を傾げたのだ。
「全員の前で、それぞれの意味を伝えたが、多くの学生が説明に聞き入っていた。手を
挙げたのは数人でも、実際分からない人はもっといたでしょう」と、この講師は推測する。
“兆候”は数年前からあったという。講義中の指示や就職活動のアドバイスを、なぜか
全く逆の意味に取り違えてしまう学生が目についていた。
「履修登録の説明書が読み取れないので新年度オリエンテーションが成り立たなくなって
いた。基本的な語彙力がないために、日本語の理解力やリスニング力が落ちている」
日々学生に接している講師の実感だ。
学生の日本語の間違いや語彙力低下に戸惑う大学関係者は少なくない。
ある私立大学では数年前から、日本語表現法の講義内容が様変わりした。毎回、学生に
漢字テストを課すようになったのだ。中学・高校レベルの問題ばかりだが、空欄が目立つ
答案が多いうえに、「診談」(診断)、「業会」(業界)といった誤字も目立つ。
「日本語表現法は、より良い表現を身につけるために『描写の際の視点の絞り方』などを
教える講義。だが、最近は義務教育で身につけるべき表記や語彙、文法すら備わって
いない学生が多いため、従来のやり方では授業が成り立たない」と、担当の准教授は話す。
(>>2-10につづく)
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