07/05/01 13:37:56 +cjsbvRc0
>>115続き
実香さんは頭痛を訴えた直後に意識不明に陥った。家族は脳の異状を疑い「CT(コンピューター断層撮影)を」と
主治医にすがったが、分娩中にけいれんを起こす子癇(しかん)の判断は変わらず、搬送先探しが優先された。
結局、死因は脳内出血。「担当の先生は、息子(実香さんの夫)も取り上げてくれた。『親子でお世話になれるな』と喜んでいた。
病院の説明があったとき、事務局長に『誰のために働いてる』と聞いたら『町、病院のため』と答えたよ」。
憲治さんの言葉には、信頼する医師の下で起きた事態へのやりきれなさがあふれていた。
その取材から3日後、実香さんの実父母、夫の晋輔さん(24)にも話を聞いた。「脳内出血の処置を受けているのに、
母乳がたまっているのか胸が張ってね……」。意識のない中、実香さんは母であろうとしたのだ。その後、遺影の実香さんと、
生後2カ月で愛くるしい笑顔の長男奏太(そうた)ちゃんに対面した。一家は考えた末、取材が殺到するのを「覚悟してます」と、
実名と写真の掲載に同意した。
報道以降、多数のファクスやメールが届いている。「医師の能力不足が事態を招いた印象を与え、一方的だ。
医療現場の荒廃を助長する」という医師の声も少なくない。だが、記事化が必要だと思った一番の理由は、
医師個人を問題にするのではなく、緊急かつ高度な治療が可能な病院に搬送するシステムが機能しない現状を、
行政も医師も、そして私たちも直視すべきだと思ったからだ。居住地域によって、助かる命と失われる命があってはならない。