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・糖尿病などで足が壊死する「難治性潰瘍」で切断しか治療法のない患者に、岡山大の
三井秀也講師(心臓血管外科)が「マゴット(ハエ幼虫)セラピー」という治療法を行った
ところ、9割の患者が足を切断せずにすむなど高い効果が認められていることが分かった。
日本では壊死による足切断は3000例を超えるとされる。三井講師は秋にも医師主導
臨床試験に取り組む予定。英国では保険医療が認められ、年間数百人が治療を受けている。
マゴットセラピーは、壊死した皮膚にハエの幼虫をガーゼとともに固定して行う。幼虫が
腐敗した部分を食べ傷をきれいにするとともに、幼虫の唾液に含まれる物質が微生物を
殺す役目を果たし、傷の回復を早める。週に2回ほどガーゼを取り換え、2~3週間で効果が
あらわれる。
三井講師はオーストラリア留学中にこの治療法を知り、平成16年に糖尿病などの合併症で
足切断しか治療法のない60代の女性に日本で初めて実施。潰瘍が1週間で半分の大きさに
なり、患者の痛みも軽減したという。傷が完治したこの女性は3カ月で退院。切断を免れた
足で歩行に努めたためか、その後の糖尿病のコントロールも良好だという。
マゴットセラピーはこれまで国内27カ所で約100例が行われ、このうち三井講師は66例を
手がけた。患者はいずれも他の医療機関で「即足切断か足切断の可能性あり」と診断されたが
治療の結果、58例で傷が完治し、足切断せずにすんだという。
治療に使うのはヒロズキンバエの幼虫。当初はオーストラリアから輸入していたため完治まで
約30万円かかったが、現在は自前で育てたものを使うため費用は12~18万円ですむように
なった。それでも保険適用される足の切断手術(1カ月の入院で自己負担約8万円)に比べると
患者の金銭的負担が大きい。
三井講師は「自分で歩くことができれば、糖尿病もコントロールしやすくなり、医療費削減に
つながる。全国どこの病院でも治療を受けられるようにして、1人でも多く足切断から救いたい」
と話している。(一部略)
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