07/04/30 20:55:05 SO4bVkYT0
最高裁 第二小法廷平成18年3月17日判決
不当な「みなし弁済」規定に対する最高裁の断固たる姿勢
URLリンク(www.courts.go.jp)
マスコミでは特に取り上げられていないようですが,
これも貸金業法43条1項の「みなし弁済」規定の適用を否定した判決です。
法解釈に関する判示内容自体は,シティズ事件の判決と特に変わらないのですが,
この判決の注目すべきところは,高等裁判所が上告裁判所となる簡裁事件について特別上告がなされた事案について,
高裁の原判決を破棄差戻にしているところです。
特別上告は,民事訴訟法327条1項の規定によれば,憲法違反を理由とする場合でなければすることができず,
単に貸金業法43条1項の解釈適用を誤っているとの理由による特別上告は不適法であるため,
最高裁はこのような理由による特別上告は許されないとして特別上告を棄却することもできたはずであり,
むしろ制度上の建前としてはそのように取り扱うのが原則です。
しかし,最高裁は敢えてそのような取り扱いをせず,適法な特別上告理由がない場合でも
原判決に明らかな法令違反があるときは原判決を破棄することができるという
民事訴訟法327条2項・325条2項の規定を適用し,みなし弁済の適用を認めた原判決を破棄差戻にしています。
これはかなり異例と言って良い取り扱いであり,このような事例があると,最高裁の職権破棄に
賭けてろくな理由もない特別上告が数多く行われ,最高裁が過重な事務負担を背負うことになる可能性もあるのですが,
この判決はかかる可能性を考慮しても,みなし弁済の適用を認めた原判決がそのまま確定する事態を
容認することはできないと判断したものであり,見方によっては,
不当な「みなし弁済」規定に対する最高裁の断固たる姿勢が改めて示された判決であると評価することも出来ます。