07/04/24 19:34:08 0
・シンガー・ソングライターの尾崎豊が亡くなって25日で15年を迎える。若い世代の反抗と
苦悩を描き、いかに生きるべきかを探し続けた歌は、いまや教科書にも登場する。
「若者たちの教祖」「10代の代弁者」といった従来のイメージから変化が見られる一方、
肝心の若者たちの心にその歌は届いているのだろうか。
彼の歌がわたしたちの胸を打つのは、彼が自分について問い続けたからだろう―。
教育出版が発行する高校の倫理教科書に、「僕が僕であるために」「永遠の胸」などの
歌詞の一節とともに、尾崎はそう紹介されている。
〈盗んだバイクで走り出す〉(「15の夜」)、〈夜の校舎 窓ガラス壊してまわった〉(「卒業」)。
社会へのいらだちを過激につづった歌詞は教育現場にそぐわないように見えるが、意外にも
「現場の教師から、自己の生き方を模索する代表例と勧められた」と教育出版の担当者は言う。
教科書の監修に携わった大阪の府立高校教諭、堀一人さん(53)は「反抗の歌と思われるが
テーマはむしろ他者との関係の中でのアイデンティティーの問題だ」と話す。
〈人は誰も縛られたかよわき小羊ならば 先生あなたはかよわき大人の代弁者なのか〉。
窓ガラスを壊す一節が注目されがちな「卒業」だが、学校や教師との単純な対立軸に回収
しきれない戸惑いこそがこの曲の魅力を作り出している。
尾崎の歌が、いくつかの倫理の教科書に登場したのは03年。堀さんはその少し前から、
積極的に尾崎の考え方を授業で採り上げてきたが、最近は減らしている。「彼の歌に生徒
たちが実感を持てなくなってきた」のが理由だ。
「学生の反応は年を追うごとに悪くなっている」と精神科医の香山リカさん(46)も言う。
00年ごろから大学の授業で「卒業」などを聴かせている。最近は否定的な感想が目立つ。
「周りに迷惑をかけるのは間違い」「大人だって子供のことを思っているのに反発するのは
おかしい」。体制や大人に反抗するのはいかがなものかという声だ。香山さんは「成長
プロセスにおける仮想敵だったはずの親や先生の善意を屈託なく信じている」と首をかしげる。
(>>2-10につづく)
URLリンク(www.asahi.com)