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伊藤一長・長崎市長(61)が暴力団組員に銃撃され、きのう未明に亡くなった。
宵の口、人通りの多いJR長崎駅前での信じられない凶行である。立候補している市長選の
遊説を終え、事務所に歩いて戻る途中、背後から狙われた。
・自治の原点標的
四年に一度の統一地方選さなかの政治家へのテロの影響は計り知れない。有権者に政治信条
や政策を直接訴えることができる貴重な機会である。有権者にとっても、自治体のトップを目指す
候補の資質を見極める場でもある。双方が頻繁に接するだけに無防備にもなりやすかろう。
民主主義の根幹を揺るがす暴挙だ。断じて許せない。
政治家へのテロは、自由にものが言えなくなる風潮を助長する点で悪質さが際立つ。意見の
対立を許さず、自身の思いを力ずくで押し通そうとする。こんな世の中は背筋が寒くなる。
民主主義の学校ともされる地方自治の原点が標的にされた。本来、言論活動で決すべき
問題が暴力でゆがめられることがあってはならない。人命を奪うなどもってのほかである。
長崎県警などによると、現行犯逮捕された城尾哲弥容疑者は指定暴力団山口組系水心会に
所属していた。二〇〇三年に長崎市が発注した市道の工事現場で、道路の陥没部分に
乗用車の車体の一部がはまる事故を起こし、対応をめぐって市などとトラブルになっていたという。
たとえどんな理由があるにしろ、銃の所持が厳しく規制されている日本で、こんな無法がまかり
通っていいのか。組織暴力団の取り締まりが惰性に流れている面はなかったのか。捜査・警備
当局は深刻な反省を迫られているといえる。
長崎市をはじめ、全国の自治体は入札制度の改善や公共工事からの暴力団の排除に取り組む。
しがらみを断ち、行政の透明性を向上させることは、多くの有権者の望みでもあろう。不当な要求
を拒んだ市が逆恨みされたとしたら言語道断である。首長だけでなく職員も含めて安心して仕事が
できる環境をどう確保するか。暴力を許さない仕組みをつくるために、警察との連携の在り方を
考える時である。(続く)
ソース:中国新聞
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