07/04/12 12:30:40 0
(>>1のつづき)
このままでは、この国の選挙は際限なく強い刺激を求める「オーラ競争」になってしまう。そうした
危惧の中で、政治学の巨人、故丸山真男氏の言葉に出合い、深く共感した。丸山氏はかつて講演で
こう言った。「(政治的選択とは)福沢諭吉の言葉ですが、『悪さ加減の選択』なのです。(中略)悪さの
程度がすこしでも少ないものを選択するということです」
「政治というものをベストの選択として考える考え方は、容易に政治に対する手ひどい幻滅、あるいは
失望に転化します。つまり、政治的な権威に対する盲目的な信仰と政治にたいする冷笑とは、実は
うらはらの形で同居している」(丸山真男集第7巻=岩波書店)
「何かやってくれそうな人」をヤンヤの喝采で迎え「あとはお任せ」では、無責任というものだ。政治を
「お上の仕事」と見る発想から抜け切れていないともいえる。視点を変えれば「強者」への迎合の
心理も見え隠れする。
私は3年前に「サンデー毎日」誌上で、石原知事の「豪華海外出張」などの公私混同問題を最初に
報じた。それが今知事選で争点になったことを正直うれしく思う。しかし多くの有権者はそれに許しを
与えた。当の石原知事は「陰湿に根拠のないバッシングをされた」と早くも報道に責任転嫁するかの
ような発言を始めている。石原知事に「公僕」としての意識はあるのか、強く疑問に思う。
では、浅野氏らが集めた知事批判票は無駄だったのか。そうではないと思う。
今知事選を機に、都議会民主党が石原知事への対決姿勢を鮮明にしたことは率直に評価したい。
同党は3月の都議会で初めて予算案に反対し、知事との論戦が紛糾する場面も何度かあった。
浅野氏の支援には異論を抱えたままだったが、都議22人中8人が公然と石原知事支持に回った
前回の都知事選とは違って、今回、造反はなかった。
同党は05年都議選以降35人に躍進した。知事批判票を背景に今後も対立軸を示し続けることが
できれば、自民党に次ぐ都議会第2党としての存在感は増すだろう。
おそらく、地道な選択の積み重ねでしか、政治は良くならない。期待し過ぎず、あきらめない--
有権者には、そうした態度が求められていると思う。(以上、一部略)