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イラク戦争でフセイン政権が崩壊して9日で4年。昨年5月にはマリキ政権が発足し、
約四半世紀にわたり独裁体制を敷いたサダム・フセイン元大統領は昨年末に死刑を執行された。
ブッシュ政権は「世界はより安全になった」と強調するが、内戦状態のイラクの混迷は深まるばかり。
「イラク国民の統合を維持するため努力する」。マリキ首相は就任演説で、
経済復興の前提ともなる治安改善に力を注ぐ姿勢を強調した。旧政権崩壊で優位な立場を失った
イスラム教スンニ派と、逆に政治の表舞台に躍り出たシーア派の宗派対立の解消が期待された。
だが、双方の衝突は一向に沈静化しない。駐留米軍とイラク治安部隊は2月に
首都バグダッドで集中的掃討作戦を開始したが、米国が「治安悪化の最大要因」と
名指しするシーア派民兵組織マハディ軍の幹部は国外に脱出したとされ、
スンニ派武装勢力はバグダッド郊外まで戦線を拡大、大規模な爆弾テロを連日、繰り返している。
内務省が確認しただけで、月間の民間人死者数は恒常的に1000人を突破している。
英米系の非政府組織(NGO)イラク・ボディー・カウントによると、イラク戦争後の
民間人死者数は少なくとも6万人。中には昨年6月時点で約65万5000人が死亡したとの推計もある。
死者数すら正確に把握できないのが現状だ。
「イラク人だけが宗派対立を解消できる」(ブッシュ大統領)。大統領は今年1月、
米軍の一時増派を軸としたイラク新政策を発表する一方で、米軍がもはやイラク安定化への
主導権を握っていないことを認めている。
米国世論はイラク混迷へのいら立ちを強める一方、民主党主導の議会は、
来年11月の大統領選・議会選を視野に政権の揺さぶりを強めている。このはざまにあって
ブッシュ大統領の孤立化、求心力低下が際立っており、大統領にとって一時増派は「最後の賭け」だ。
失敗なら次期米政権での米軍の大規模撤退が現実味を帯びそうだ。
大統領は今月3日、増派部隊が出そろうのは6月で「作戦はまだ始まったばかりだ」と強調した。
だがイラクで行われた最近の世論調査では、米軍の存在が治安を悪化させているとの回答が
69%にも上った。フセイン元大統領の姿が消えたイラクに、安定が訪れる兆しはまだ見えてこない。
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