07/04/06 15:42:53 XG9XrDeR0
水木少年の配下に、いつもいじめられているおとなしい子供がいた。
しかし、戦後、水木しげるが復員してみると、彼は材木会社の社長になり、手広く商売をしていた。
後でわかったが、実は彼は朝鮮人であった。
いい話だ。こういう話は、差別されている子供たちの励みにもなる。
編集者もそう言い、私もそう思った。こういう逸話をもっと書いてもらいたいね。
私はまた原稿を持って水木のもとへ出かけた。
「水木さん、これはいい話ですね。こういう話はもうありませんか」
「いくらでもありますよ」
「じゃ、それを書き足してください」
一週間後、私は加筆原稿を受け取りに行った。受け取った原稿を読んで、私は死ぬほど笑い転げた。
原稿にはこんなことが書かれていた。
「三組の田中も実は朝鮮人だった。六年生の加藤も実は朝鮮人だった。
弟の同級生の山田も実は朝鮮人だった。隣町の中村も実は・・・・・・」
私と編集者が求めている「こういう話」が「そういう話」でないことは、ことわるまでもなかろう。