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「外部への情報提供はしていない」。イージス艦情報を持ち出した海上自衛隊第1護衛隊群
(神奈川県横須賀市)の2曹は、海上自衛隊などの調べに対し、情報を第三者に渡したことは否定
している。だが、不当な方法で収集しただけでも罪に問われる「特別防衛秘密」を2曹はなぜ持ち出し
たのか。2曹の中国籍の妻(33)は昨年12月、自ら入国管理局に出頭し、オーバーステイである
ことを認めるという“奇行”に出ており、海自や公安当局は関心を寄せている。
自衛隊幹部によると、2曹が持ち出した「イージスシステム」の根幹部分は、同盟国の日本にも
開示されていない。自衛隊が保有するイージス艦は、船体自体は国内で製造されているが、高性能
レーダーによる敵機探知やミサイルでの迎撃をつかさどるシステムの“心臓部”はブラックボックスの
まま米側から提供され、船体に搭載するだけという。
ただ、レーダーの探知能力など性能に関するデータは、イージス艦を運用する上で隊員も把握
する必要があり、レーダーを操作する隊員らにも、性能などの資料が配布されているとされる。
イージス艦は北朝鮮の弾道ミサイルを探知・迎撃する要。発射されたミサイルの航跡情報などを
共有するため、日米のイージス艦同士で情報交換も行われており、仮に今回の事件で米軍の作戦指揮
に関連する情報が漏れていれば、米側への被害も大きい。それほど重要な秘密情報だ。
情報持ち出し事件の発端となったのは、中国籍の妻の入管難民法違反容疑事件だった。
公安当局によると、妻はこれまでに少なくとも2回、不正入国している。平成16年初めに窃盗容疑
で逮捕され、取り調べの結果、不正入国が発覚。同年2月に強制退去処分を受け、中国に戻った。
ところが、再び日本に密入国。横浜中華街の中華料理店などで働いているうちに、知人の紹介で
2曹と知り合い、18年10月に結婚。横須賀市内の2曹の自宅に転居した。
だが、結婚から3カ月目の同12月、自ら入管にオーバーステイだと出頭した。海自や公安当局は
妻のこうした「奇異な行動」に不審を抱いており、2曹の情報持ち出しとの関連を慎重に調べている
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