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今、日米関係を大切にしたいと考える人ほど、眼前の摩擦についてどうすべきか、悩んで
いるのではないか。眼前の摩擦とは、言うまでもなく、米国民主党のマイク・ホンダ下院
議員らが提出した、慰安婦問題に関して日本政府に“公式”かつ“曖昧さのまったくない”
謝罪と償いを求める決議案をめぐる取り扱いである。
先週の当欄で、マイケル・グリーン前国家安全保障会議アジア上級部長のコメントを紹介
した。あの知日派の、良好な日米関係の維持に最も配慮している人物の一人に間違い
ないグリーン氏でさえ、日本政府が戦時中に慰安婦の女性たちを強制したか否かを争っ
ても、日本には政治的に勝ち目がないと警告した。
強い影響力を持つ「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」などの新聞がこの問題
を取り上げ、厳しい対日非難を繰り返し始めた今、日本は恭順の意を表し、謝罪の姿勢を
保ち続けるのが現実的であり、得策であるとの考え方だ。日本にとっては不当な考えで
あっても、グリーン氏の発言は、間違いなく日米関係を重要視した結果である。
では、対する日本はいったい、どうすべきか。
この際、トルコ政府の行動に注目したい。米下院は、民主党のアダム・シフ議員(カリフォ
ルニア州選出)らが提案したトルコによるアルメニア人虐殺非難決議を、その虐殺が開始
されたとされる4月24日までに成立させる見込みだと報じられている。
トルコ政府はこの動きに猛然と反発した。米国議会が問題にしている“虐殺”は90年も前
のオスマン帝国時代のことで、しかも、米国議会は少数民族のアルメニア人約150万人
が殺害されたというが、実態は異なると彼らは言う。
トルコ政府はただちにアブドラ・ギュル外相をワシントンに送り込み、強く抗議、同決議案
の採択が米国との関係に深刻な負の効果を及ぼすこと、国民感情を考えれば、トルコ国内
の基地を米軍が使用することを禁ずるか制限しなければならないことを伝えている。
(>>2-5に続く)
『週刊ダイヤモンド』2007年3月24日号より。尚、引用元は
櫻井よしこブログ:URLリンク(blog.yoshiko-sakurai.jp)