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・航空自衛隊入間基地(埼玉県)に三十日、日本では米軍基地以外で初めて地対空誘導弾パトリオット
(PAC3)が配備された。「北(朝鮮)の脅威」が配備を促したが、効果は依然、不透明だ。一方、今回の
配備は急速に進む日米の軍事一体化の流れにある。財界は歓迎するばかりか、先導役にも。無限に
広がるミサイル防衛(MD)開発により、日本版「軍産複合体」がなし崩しに膨らみつつある。
PAC3配備を数日後に控えた西武池袋線入間市駅前。買い物中の主婦は「パトリオット? 聞いたことは
あるけど」と配備にはほとんど関心がなかった。
入間市議会(定数二四)で、今回の配備に反対したのは共産党の四人を含む五人だけ。その一人で無所属の
山下修子市議は「事前に発射が知らされず、命中しても破片がバラバラと住民に降ってくる。逆に『敵』の
攻撃の標的となり、危険性は増すばかり。住民不在の安全保障だ」と憤る。
だが、基地に慣れた市当局の反応は鈍い。市議会でも「防衛は国が決めること」と独自の見解は避け、
PAC3の運用面でも「(基地側から)配備は聞いているが、運用の条件などの話はしていない」(同市企画部)と
受け身に徹する。
入間基地への配備は当初の「二〇〇七年度から」を前倒しした。昨年の北朝鮮によるミサイルと核実験が
追い風になった。日米の国防族、軍需産業の要人が会する「日米安全保障戦略会議」の第八回会議(東京・
昨年八月)で、三菱重工航空宇宙本部の西山淳一氏は「北朝鮮のミサイル発射によって、この間の対処などを
再検討する必要があるのではないか」と発言。結果は言葉通りになった。
その後、今月二十三日の閣議では部隊指揮官に迎撃判断を一任する「対処要領」が決められた。これが
従来の文民統制に抵触するのか否か、といった議論は“風”に飛ばされた。
だが、MDの本家本元である米国では、ことし一月五日発表の「米議会調査サービス(CRS)報告書」の
中に「(迎撃実験のデータについて)包括的で独立した検証はいまだ完成せず(MDを)正当化できないかも
しれない」と効果に疑問を呈す記述が表れた。(>>2-10につづく)
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