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書評:「ニートって言うな!」 2006-02-13 20:49:15 / 映画&本
「ニートって言うな!」本田由紀、内藤朝雄、後藤和智 共著 光文社新書2006.1
やっと読みました。著書ひとりが一部を担当し、3部編成の書。
まず第一部。本田さんが「ニート」という概念のいいかげんさ、あやうさ、政治経済的な傾きを緻密にスケッチしている。
異論があるのは49Pの図。これほどニートという言葉を厳密に用い、かつその問題性を鋭く指摘される本田さんならば、ひきこもりという概念も使うべきではなかったのではないか。
「ひきこもり」とは、そもそもアメリカの医学診断基準のなかの統合失調症のなかの一症状だった。それが、日本に輸入され、若い世代で学校に行かない子どもの成人版としてメディア等によってグロテスクに宣伝され、バッシングされるようになっている。
もう最近では学校や会社に行っていても、「心が引きこもっている」と他人を非難したり、「ボクは学校に行っているひきこもりだったんですよ」と自己にレッテルを貼ったりするのに使われたりしている。つまり、「ひきこもり」という語の意味は拡散・希釈されている。
なのに、人にマイナスのレッテルを貼る機能だけは、いまなお使われている。これは、ニートと同じ、まやかしの語ではないのか?
ニートは自己責任ではないということ、ニート(という概念とそれへの蔑視)を生み出す社会こそ変えなければという最後の提案には、賛成できる。基本的によい仕事である。
つづいて第二部。いじめ学者の内藤朝雄さんが、ニートを切り口にして、若者にマイナスのレッテルを貼って特定の集団を追い詰め、排除しようとする「憎悪のメカニズム」を分析している。
また、教育が、まるで日本のキツネつきやヨーロッパのオオカミつきのごとく、若者にとりつくプロセスについても解説。「悪霊」としての教育、善意をかくれみのにした悪意の暗躍についてキッチリと指摘している。社会改良に関心のある方は必見だ。
統計を用いての若者の現状紹介は有益。読者が身近な若者とニュースのなかの若者の違いを認識する手がかりとなるだろう。
若者自立塾構想が、実は「プチ徴兵制」ではないかとの指摘は的確だ。実際、戦前を理想とする人々は、つねづねそうした構想を実行する機会を待っていたにちがいない。