07/03/19 11:43:10 0
・「地図に残る仕事」。
以前、大手建設会社が流していたCMのフレーズだ。その言葉から橋やビルなど
地図に残る大型事業に携わる者の気概や責任感が伝わってきて、耳に心地よく響いた。
新聞づくりは「記録に残る仕事」。テレビやインターネットのニュースもDVDなどで保存
できるが、新聞の場合、最初から「記録に残す」ことを目的としている。それが大きな特徴だ。
毎日新聞など全国紙は1カ月分の新聞(東京本社発行の最終版)を1冊にまとめた
「縮刷版」を毎月発行している。政治から経済、社会、芸術などのリアルタイムの動きを
記録した歴史書とみることもできる。
昔の縮刷版をめくっていて自分が書いた「特ダネ」記事を見つけると、ついニンマリする。
逆に自分で出した「訂正」記事が目に入ると今でも気分が落ち込む。間違った記事を書いた
時の状況、デスクから指摘された時の会話などが瞬時に脳裏に浮かんでくるのだ。
間違った記事を載せた新聞は、それが一部であっても欠陥商品。記事に書かれた当事者、
さらに新聞代をいただいている読者の皆様に心から謝罪しなければならない。
謝ったら終わり--ではない。なぜ間違えたのか、再発を防ぐためにはどうしたらいいのかを
検証する必要がある。
最悪の対応は、「気づいたのは一部の人」と高をくくり訂正に応じなかったり、表面だけ
取り繕って本当の検証を行わないこと。その行く先には信用失墜しかない。
冒頭で触れた建設会社は今、談合問題で揺れている。この会社の「いい話」を取材した
ことがあるだけに余計に腹立たしく、「改める気があるのか」と言いたくなる。
一方、新聞業界でも信じられない不祥事が相次いだ。自社、他社の境界を越え、業界
全体の問題として考えるべきではないか、と私は思う。
それができないと、とてもじゃないが胸を張って「後世に残る仕事」なんて言えない。
(新潟支局長、柴田朗) (一部略)
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