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お遍路さんが四国八十八か所の札所で朱印をもらい、結願の証しになる「納経軸」の盗難が、
終着点のある香川県内で相次いでいる。
徳島、高知、愛媛と回り、踏破目前で「一生の宝物」を失った人たちの落胆は大きい。
関係者は「残りの朱印をもらって結願を達成するのか」「販売目的なのか」といぶかり、
お遍路さんに注意を呼びかけている。
お遍路さんは参拝の証明として、札所で持参の納経軸や納経帳に本尊と寺院の名の墨書きと
朱印を受ける。
朱印などの料金は納経軸500円、納経帳で300円。軸は表装して掛け軸にされるもので、
軸自体が数万円する高級品もある。
ネットオークションでは、すべての朱印を集めた納経軸が10万円近い値段で出品されるなど、
需要があることから、販売目的での窃盗の可能性もあるという。
香川県内で盗難が目立つようになったのは約5年前。八十番・国分寺(高松市)で旅館を営む
片岡隆さん(64)は「この数年で宿泊客約20人から香川で軸を盗まれたと聞いた」と話す。
国分寺付近では、分かっているだけで月1件以上の被害があるという。
終着点の八十八番・大窪寺(香川県さぬき市)門前で民宿を営む安部君枝さん(75)は
昨年11月、大阪から来た年配の男性客から「国分寺で軸を盗まれた」と打ち明けられた。
ベンチにリュックを置いてたばこを買いに立った数十秒の間に、リュックにくくりつけた袋から
軸だけを盗まれた。男性は「家族も楽しみに待っているのに、どう話せばいいのか」と
落ち込んでいたという。
四国八十八ヶ所霊場会事務局(同県善通寺市)の担当者は、「病気や高齢で巡礼できない人
などが購入したがり、売買は以前からあった」としながらも、「盗んだもので結願するのは論外。
長い歩き旅で人を信用する習慣がついているお遍路さんから盗むとは、せちがらい世の中になった」
と嘆いている。
(2007年3月17日14時32分 読売新聞)
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