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菜食主義と不殺生
実は、四十年ほど前の日本の食生活は、
栄養という点でインドと大差がなかったのです。
中山誠記『食生活はどうなるか』(岩波新書一九六〇年)十九頁の
「栄養状態の国際比較1957年」によれば、一日当たりに摂取する肉・乳・卵類は、
アメリカ1084、日本59、インド98カロリーです。
当時、日本の動物性食品は魚が過半数で肉はわずか12%、
年間1人当たり三キロ強の消費でした。
明治四年に宮中で肉の禁令が解かれ、五年には僧の肉食も許されました。
福沢諭吉は新聞で肉食を勧め、服部誠一(撫松)の『東京新繁昌記』は、
明治初期に東京で牛鍋店が増える様子を描いています。
肉食が文明開化とともに盛んになったかのようですが、実はそうではありません。
牛鍋店が増えはしても、庶民の食卓に肉が上ることはあまりなかったのです。
治一〇年ごろから昭和初期まで日本経済は大成長して国民所得は約七倍に伸びましたが、
食生活改善は米の消費の伸びとして現れて、
年間一人当たり120キロから160キロに増えました。肉の消費も伸びましたが目覚しくはなく、
明治末から昭和初期までの20年間で、卵3・2倍、牛乳2・8倍、魚2・4倍に対し、
肉は1・7倍でした。
食肉消費量が急激に伸びるのは1960年以降です。
その後30数年で12倍と爆発的です。